庭園デザイン 1958–

石原 和幸

Kazuyuki Ishihara いしはら かずゆき

苔を生かした日本の庭で、英国チェルシーフラワーショーのゴールドメダルを13個獲得した庭園デザイナー。エリザベス女王に「緑の魔術師」と称えられた。

自作の庭に立つ石原和幸(チェルシーフラワーショー2024)

1958年、長崎県に生まれる。22歳でいけばなの根源とされる池坊に入門し、たった3本の枝から生まれる美しい風景に心を奪われた。以来、花と緑に魅せられ、花の路上販売から店舗へ、そして庭づくりへと仕事を広げてきた。

苔を使った庭で独自の世界をひらき、英国王立園芸協会(RHS)が主催する国際ガーデンショーの最高峰、チェルシーフラワーショーで高く評価される。2004年の初出展から22年間で18回出展し、そのすべてで受賞。2006年から2025年までにゴールドメダルを13個獲得し、部門1位のベストガーデン賞とのダブル受賞を7度果たした。2016年には出展者の最高賞であるプレジデント賞を、2025年には出展庭園の最高栄誉「RHSチェルシーガーデンオブザイヤー」と、来場者が選ぶ「RHSピープルズチョイス ベストショーガーデン」を受けている。

国内では、日本の玄関口である羽田空港の第1旅客ターミナルに、英国での受賞作品を再現した「花の楽園」を設けた。東北の被災地・女川をはじめ各地で日本の風景を造り続け、庭と壁面緑化の施工は個人邸を含めて1万件にのぼる。北京万博には招聘デザイナーとして庭園を手がけ、全国16都市・3施設・2商品、計21の「みどりのアンバサダー」も務めてきた。

庭に用いる松の盆栽は、近年「風景盆栽」のブランドとして手がけ、国内外のコレクターから依頼が続く。株式会社石原和幸デザイン研究所の代表として東京・福岡・長崎を拠点に、庭と壁面緑化、ランドスケープの設計・施工と総合プロデュースを国内外で行い、講演会や花の教室でも植物のすばらしさを伝えている。

Cha No Niwa – Japanese Tea Garden2025チェルシーフラワーショー2025 ショーガーデン部門 ゴールドメダル、RHSチェルシーガーデンオブザイヤー、RHSピープルズチョイス ベストショーガーデン

Story

みんなが笑顔になれる世界へ

石原和幸の庭には、いつも言葉が添えられている。2024年のチェルシーフラワーショーに出展した「MOROTO no IE」には、こんな言葉を寄せている。「自分が幸せになると家族も幸せになる。家族が幸せになると、街が、そして国が幸せになる。花が増えると争いもなくなるのではないか。みんなが笑顔になれる世界を目指して。」

翌2025年の「Cha No Niwa – Japanese Tea Garden」は、故郷・長崎の記憶から生まれた。1945年の原爆ですべてが破壊された長崎に、やがて自然は戻ってきた。自然は再び美しく蘇ることができる——その希望を表した庭は、ゴールドメダルに加え、出展庭園の最高栄誉であるRHSチェルシーガーデンオブザイヤーと、来場者の投票で選ばれるRHSピープルズチョイスを同時に受けた。世界有数のガーデン大国イギリスで、日本庭園の美しさが認められた。

主題はいつも暮らしの中にある。車を入れるだけの場所を、植物と過ごす場所に変えた2016年の「ガレージ・ガーデン」。シャワーを浴びながらガラス越しに緑を眺める2019年の「グリーン・スイッチ」。2026年の「Tokonoma Garden – Sanumaya no Niwa」では、家族が集い、地域の人々が訪れた床の間のある暮らしを、庭として現代に提案した。小さな空間でも、工夫ひとつで心にゆとりが生まれる。石原の庭は、そのことを教えてくれる。

故郷の長崎市三原では、斜面地を生かしたオープンガーデン「三原庭園」を作り続けている。和と洋の二つの庭に、レストランやカフェ、風景盆栽のギャラリー、山羊小屋までを備え、終わりなく進化を続ける庭だ。長崎市からは、斜面地を有効に活かすモデルケースとしても注目されている。

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  1. 1958長崎県に生まれる
  2. 198022歳で池坊に入門。のちに花の路上販売を始め、店舗、庭づくりへと仕事を広げる
  3. 2004英国チェルシーフラワーショーに初出展
  4. 2006チェルシーフラワーショーで初めてゴールドメダルを受ける
  5. 2008南青山の「風花」の外壁に壁面緑化を手がける
  6. 2009株式会社石原和幸デザイン研究所を設立(9月)
  7. 2012羽田空港第1旅客ターミナルに「花の楽園-緑の詩をきかせたくて-」を設ける(3月)
  8. 2013ウェスティンホテル東京の庭園「ウェスティン ガーデン」を手がける
  9. 2016チェルシーフラワーショーで、出展者の最高賞であるプレジデント賞を受ける
  10. 2018北京万博の招聘デザイナーとして、庭園「桃源郷」を手がける
  11. 2020故郷の長崎市三原に、オープンガーデン「三原庭園」をつくる
  12. 2025フィラデルフィアフラワーショーで、日本人として初めてゴールドを受ける(3月)
  13. 2025チェルシーフラワーショーで13個目のゴールドメダル。RHSチェルシーガーデンオブザイヤーとRHSピープルズチョイスをあわせて受ける(5月)
  14. 2026ニューヨークの国連本部で開かれたNGO CSW70フォーラムで、Outstanding Contribution Awardを受ける(3月)
  15. 2026チェルシーフラワーショーでシルバーギルトメダル。初出展から22年間、18回連続の受賞となる(5月)
  16. 2026シンガポール・ガーデン・フェスティバルでプラチナアワードを受ける(7月)

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